7月16日、気温が30度以上となった暑い札幌で、食卓美学総論のレッスンが行われました。この日のテーマは「葉月のおもてなし グラスの美学と作法」。外の暑さとは裏腹に、サロンにセッティングされたテーブルコーディネートはとても涼やか。ガラスの器やグリーンの使い方次第で、視覚的に十分さわやかな気分になれます。
ところで、みなさんはワイングラスの種類の違いや、その違いによってワインの味わい方が変わると知っていましたか? 今回のレッスンでは、さまざまなタイプのグラスの紹介を、「味覚地図」の歴史と絡めて荒井三津子先生が教えてくれました。味覚地図とは、舌の先端で甘さを、両端で酸味や塩味を、奥のほうで苦味を感じるというように、味を感じる舌の神経は味の種類ごとに分かれているというもの。口径の広いグラスでワインを飲むと、横幅が広いので口全体にワインが広がり、舌の両端にもワインが触れます。つまり、酸味や塩味も感じられるというわけです。フルートグラスのような口径が狭いグラスは、口をすぼめて顔の角度を少し上に向けてワインを飲みます。真っすぐに舌の上を通り、喉の奥へ流れていくので、酸味を強く感じることなくバランス良くワインを味わえます。こういうことを少し知っているだけで、自宅でワインを飲む際はもちろん、お店へ行ったときも食の楽しさが広がりますね。
今回は、食事の作法、マナーについても学びました。ホスピタリティとアメニティの違い、エチケットとマナー、そしてプロトコルの意味の違いなどを語源から先生が説明。これまでこれらの言葉を曖昧に使っていたことがよく分かりました…(反省)。
食事マナーのくだりから、日本人と西洋人のマナー教育の違いについて話されていた内容も興味深いものでした。日本で毎年のようにマナーの本が出版され、売れ続けているのは、「恥の文化」がベースにあるため、本を読んで学んでおこう、準備しておこうという心理が作用するから。確かにマナーというと、堅苦しさを感じつつ、知らないと恥ずかしいという考えが先行してしまいます。一方、西洋では、「マナーを知っていると、よそで褒められる、あるいはワンランク上に見られるよ」というスタンスでマナー教育が行われているそう。ちょっとした違いですが、アプローチの入り口が異なるとマナーに対する捉え方が全く異なると感じました。
食卓美学総論は、こうした深い知識を得られるのはもちろん、テーブルコーディネートと食卓の花についても学べるのが魅力。今回は、夏ということでガラスの器にビー玉を入れてグリーンをあしらいました。使用したのは、グリーンスケールとバラの実。暑さで花も元気がなくなる時期は、水に氷を入れて刺激をあげるといいですよというアドバイスも参考になります。テーブルコーデは、まきすのランチョンマットに白い和紙を敷き、ガラスの器をセット。麻のナプキンの上に黄色の蘭とグリーンスケールを添えることで、一気に南国風になります。
そしてもう一つ、レッスンの楽しみといえば、煌道の家庭懐石! 今回も発酵調味研究家でもある筒渕信子先生による美味しい料理を堪能しました。懐石といっても、煌道では和食と限定しておらず、今回はエスニック懐石。テーブルコーデにぴったりです。生春巻きやアサリのレモングラス蒸しなどが載ったおしのぎから始まり、エスニックスープ、エビとグレープフルーツのサラダ、ベトナム風オムレツ、バインミー、冷製チキンフォー、最後のデザートは甘酒タピオカミルクと贅沢かつ豪勢な内容でした。
次回は8月20日(金)10時30分~13時30分。食卓を中心にした暮らしをセンスアップさせたい方、大人の習い事を探している方、ぜひ一緒にレッスンを受けませんか。秋からは新しい食卓美学総論もスタートしますよ。
現在、煌道がセレクトした夏のギフトセットの予約を受付中です。北海道発・ノースファームストックの人気商品の数々に、食卓をステキに彩ってくれるフランス製の万能バターナイフとガラスの蓋つきジャムポットを組み合わせました。自分のご褒美に、大切な方へのギフトに、ぜひご利用ください。問い合わせ・申し込みは下記メールから。
kodo.seikatsubunka.info@gmail.com
レポート/中村昭子